彼女は、乾式クラッチの音とエンジンの音の中、
確かに言った。

「つかまえて」

ちきしょう。

俺はオートバイに跨った。

彼女は走り出していた。

俺も後に続く。

コーナーの連続。

離されていくばかり。

彼女の異常なスピードで疾走する姿を後ろから見ていた。

何かに追いつこうとしているような、
何かから逃げているようでもある走りが、
何だか痛かった。

何故ここまでするのだろう。

猛スピードで走りながら考える。

彼女を理解するにはあのスピードをマスターする以外に無いのか。

何から逃げているのだろう。
何に追いつこうとしているのだろう。

画像: illustration © 2018 Kiichi Watanabe www.instagram.com

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